茶の湯の入り口
今から6年前ぐらいまえだったと思う。実家の居間で妹がお抹茶を点てていた。
妹は大学で建築を専攻し、茶室や土蔵の研究をしていた。
研究に派生して裏千家茶道の稽古に通い始めた彼女は、茶碗、茶筅、帛紗など茶道具を使ってお点前の練習をするようになっていた。
「姉ちゃんも今度稽古来てみる?素敵な先生だよ」
私はその時、勉学が得意な妹と対極に、フワフワとした人生を送っていた。
習い事だって色々試してはみたがどれも長続きしなかった。
好きなことといえば外国人のお友達を作ること。外国に旅行に行くこと。
あるあるだけれど、日本の文化を説明できないストレスを
常に感じていた。日本て何だろう。。自分って何だろう。。自分に自信がなかった。
次回の稽古へお供した。地元駅近くの公民館和室。教室には凛とした着物姿の先生が稽古をされていた。その時の稽古内容は、正直記憶に薄い。知識なく見学に行った私は、質問すらろくに出てこない状態で恥ずかしいかぎり。ただ、端正な着物姿と美しい日本語を操って指導する先生の魅力に圧倒されてしまった。こんな素敵な大人にどうしたら成れるのだろうかと、強く思った。先生のような人になりたい。お茶道を習うとこんな素敵な人になれるのかしら。。これは始めない理由がない!これが私の茶の湯の入り口だった。
それから間もなくして妹は
仕事の忙しさで稽古を辞めることになった。